私の勤める会社は、宅建業者、建設業者、建築設計事務所、産業廃棄物収集運搬業などの登録をしている。メインは林業と製材業なのだが、必要に迫られて許可を取得、登録したのだと思う。
これら事業を行うための許可や登録などは、更新の手続きや届出事項の変更の手続きが必ず発生する。宅建士でもある私の担当は、もちろん宅建業。宅建業としては5年ごとの更新なのだが、役員の変更等の届出事項に変更があればその都度届け出なければならない。
新年度を迎えて、私の会社も役員が変更され、取締役、監査役の就退任について、株式会社変更登記申請と宅建業者としての名簿登載事項変更届出を県に行わないといけない。(毎回お伝えしますが、私は会社の従業員、担当者として商業登記申請「=株式会社変更登記」を行っています。行政書士は関係ありません。登記手続きは司法書士さんの管轄です。)
さて、新たに役員が就任した場合、宅建業登録をしている秋田県に対して「新しい役員がいますよ」と届出しないといけないのだが、その際に、この新しい役員に関してかなり個人的な添付書類が要求されていて、それを「身分証明書」という。
身分証明書とは
「身分証明書」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?私は、運転免許証の写しを真っ先に思い浮かべる。最近だと、マイナンバーカードなんかも身分証明書になるだろうし、学生さんならば、学生証が身分証明書になろうか。あと、ぱっと思いつくのは健康保険証やパスポートくらい。
しかし、ここで要求されている身分証明書は、本籍地の市区町村役場で発行される公的な証明書の事で、破産者名簿に記載がないことや、後見の登記を受けていない事を証明する書類のこと。
取得方法
証明したい方の本籍地のある市区町村役場で取得できる。
全国一律かどうかはっきりとは分からないが、基本は300円の手数料で発行してくれる。(300円以外の金額を提示している市区町村を見たことがない)。
現在住んでいる住所地と、本籍地が離れている方も多くいると思うが、本籍地が離れている場合には、もちろん郵送申請も認めてもらえる。郵送申請を行いたい場合は、本籍地のある市区町村役場のホームページを見ると、郵送申請のやり方や、必要な書類、手数料の納付方法などを説明しているページが用意されている事がほとんどなので、事前に確認しておくと郵送申請でも問題なく行えるはず。
委任状の注意点
証明したい方本人が取得する場合は問題ないが、私のように宅建業者としての役員変更手続きのために役員の身分証明書が必要になった場合、忙しい役員に「身分証明貰って来て下さい」とも言いずらい(本人に市区町村役場で取得して来てもらえば簡単なのだが)。頼めば快く引き受けてくれるような役員ばかりなのだが、委任状さえ書いて貰えればこちらで対応できるので、こちらで対応する。
委任状と言っても難しいことは無く、これも市区町村役場のホームページでダウンロード出来る場合がほとんど。
ただし、注意しないといけないのが、委任状は全て本人(委任者=この場合は「役員本人」)が記入するという事。委任状には、委任者(お願いする人=「役員」)と、受任者(お願いされる人=「従業員、私のこと」)の二名分の住所氏名を記載するのだが、委任者が受任者分の住所氏名も記入すると言う事。委任者本人が、自ら受任者を選んだことを担保するためだろうか。
忘れがちな事項
身分証明書には本籍地と筆頭者が記載される。私の知る身分証明書には住所の記載すら無く、本籍地だけ記載されている。
この本籍地が記載される身分証明書の取得のためには、市区町村役場で請求する際に本籍地の記入を求められる。そのため、証明する方の本籍地を正確に知らないといけない。
しっかりした委任状を作成して持っていけば、第三者でも他人の身分証明書を取得する事が出来るはずなのだが、いくら委任状を持っていても、本籍地を知らない場合は身分証明書を取得することが出来ない。
住所地と本籍地が同じならば、役所の人間も気を使って発行してくれることもあるが、そうでない場合は、電話なりなんなりして本人から本籍地を聞くしかない。
まとめ
「身分証明書」とは、本籍地の市区町村役場が、後見の登記を受けていないことなどを証明するために発行する公の書類。
委任状を用意すれば、他人の身分証明書も取得する事が出来るが、正確な本籍地を知らないと請求出来ない。
資格登録時のほか、就職時などに提出を求められる場合がある。
「身分証明書持って来て~」と言われたら、それが運転免許証の写しで良いのか、役所で取得するべきなのかは聞いた方が良いかもしれない。役所で取得する身分証明書を知らない方も多いと思うので、逆に「役所で取る身分証明書って何?」と聞かれるかもしれない。その時は、破産者名簿うんぬんや、後見の登記うんぬんの説明をすると余計わけわからなくなると思うので、「そういうのもある」くらいにとどめておいた方が良さそう。
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