普段の業務で森林(=山林)の売買(99%買う方です)を担当している。建物を買ったり、土地を買ったりと基本的には同じ事で、単純な「不動産売買」。
ただ、森林というのは「環境保全」だったり、「土砂災害防止」、またはそこに住む動物たちの「多様性の保存」など、公益的な機能を持ち合わせている。もっと簡単に言えば、二酸化炭素吸収して、酸素を供給し、人類にとって重要な資源である。
さて、このような公益的機能を有する森林なので、その取引や利用に制限がかけられている場合がある。
最近、秋田県大仙市南外の山林の購入予定があるのだが、そこは秋田県が水源森林として指定しているため、取引に先立ち秋田県に事前の届出が必要となる。「秋田県水源森林地域の保全に関する条例による土地の所有権等の移転等の事前届出」と長ったらしい名前がある。普段は、水源林の事前届出って言えば、お役所も解ってくれる。
なぜ、こんな事しているかというと、「森林の水源涵養機能の維持増進をはかるために、水源森林として指定し、事前の届出をさせる事で適正な土地利用に誘導する」のが目的。要するに過度な開発や、水源をダメにするような事はしちゃダメって事。
この事前届出は、売主側から県へ届出し、その届出に基づき、県から売主に取引に関しての助言等が文書で交付される。特に、山林の売買そのものを禁止されるわけではない。助言書の内容としては、大規模な取水行為や開発行為は避けるように努めること、水資源の保全のために適正な措置を講じるよう努めること、自然環境と調和した土地利用を行うように努めること、など。これらを売主の立場から契約の相手方(買主)にしっかり伝えてくださいというのが、助言書の内容となっている。
届出をせずに水源森林の取引をした場合や、虚偽の届出をした場合には勧告され、その勧告にすら従わない場合、公表されます。
とは言うものの、素人がこんな手続知ってますか?ってはなし。実は山林の売買には、この水源林の事前届出以外にも、様々は届出がある。契約前にするもの、契約後にするもの等、いろんなパターンがある。
公益的機能を有する森林を守るためなので、しかたないのはわかるが、素人にこれらの手続きをやらせるのは酷だと思う。
行政書士として開業したら、これらの手続も行政書士の名前でやれるだろうが、こんな手続にわざわざ費用かけてお願いしてくれる顧客がいるのか疑問・・・。
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