相続人が民法で決められていたように、その相続分も民法でさだめられている。これを法定相続分と言う。
一方、自分の意思で遺言によって法定相続分と異なる相続分を指定することもでき、これを指定相続分といい、指定相続分は、法定相続分よりも優先される。
遺言で指定相続分を定めていなければ、法定相続分を基準として遺産分割協議を行う。
法定相続分について(相続の割合)
相続放棄やら、代襲相続やらの規定があるので、複雑に見える時もあるが、法定相続分のパターンとしては、以下の7通りだけ。
なお、子、直径尊属、兄弟姉妹が複数人いる場合は、各自の相続分は等しくなる。(民法900条)例えば、相続人が配偶者と子供二名ならば、子供が二分の一の相続分を二名で分けるので、一人あたり四分の一になる。
以下、相続人の7パターン。
①配偶者だけ
相続人が配偶者だけ、つまり妻や夫だけの場合、当然配偶者が全ての遺産を相続する。
②子供と配偶者
配偶者と子供で半分づつ。子供が複数人いる場合は、均等に分ける。
③子供だけ
子供が全ての遺産を相続。複数人いれば、均等に分ける。
④配偶者と父母
配偶者が三分の二、父母が三分の一。父母で三分の一なので、具体的には父が六分の一、母も六分の一。
⑤父母だけ
父母が全ての遺産を相続。
⑥配偶者と兄弟姉妹
配偶者が四分の三、兄弟姉妹が四分の一。兄弟姉妹が複数人いるなら、均等に。
⑦兄弟姉妹だけ
兄弟姉妹が全て相続。複数人いるなら均等に。
遺言がなければ
繰り返すが、故人が遺言を残していなければ、遺産は法定相続人が法定相続分で分配する。法定相続人以外に遺産を遺したいと思ったり、法定相続人に法定相続分の遺産を遺すのが嫌なら遺言を用意しておくしかない。
旦那が死んだら
旦那が死んだら・・・と思っている奥さんへ。配偶者は必ず相続人になります。基本は子供と等分で分けます。子供がいない場合、亡くなった旦那の両親や兄弟姉妹が相続人に入ってくるので、遺産分割協議はイロイロ気を使って面倒かも。
おやじが死んだら
おやじが死んだら・・・と思っている子供へ。母親がいれば母親と子供で等分。母親もいなければ子供が全て相続。自分の兄弟姉妹がいればそっちと等分なので、兄弟喧嘩の元にも。
息子が死んだら
息子が死んだら・・・と思っているご両親へ。息子が結婚して子供もいれば、奥さんとその子供が相続。子供がいなければ息子の嫁さんと遺産分割。
祖父が死んだら
祖父が死んだら・・・と思っている孫へ。基本的にあなたに相続権はありません。あなたの父(または母)が亡くなったおじいちゃんの“子供”として遺産を相続します。仮に、この父(または母)が既に亡くなっている場合、代襲相続として孫のあなたも相続することが出来ます。
遺産の多寡は関係ない
「うちには争うほどの遺産がないから、あまり関係ない」と思っている方も多い。実は、私もそう思っている。多額の現金とか、毎月家賃収入をもたらしてくれる不動産でもあれば別だけど、わざわざ分けるような遺産も無さげ・・・
ただし、お金が無い家庭だからこそ、遺産で揉める事も多いらしい。アラブの石油王にとっては100万円なんかこずかいにもならないだろうが、お金の無い家庭にとっては大問題になりえる金額。そういう事です。
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